ちなみに、私が所有しているセットは35年前の古い物なので部品の褪色が進んでおります。
まずは外観から。
実に見事なデザインです。先日レビューした中世の城も、王子さまの城をモディファイしたような感じでした。この城の特徴的なデザインの一つに、ハーフティンバー様式の黄色い壁、三角屋根と連なる尖塔があげられます。
居館か礼拝堂かと思われますが、十字架もないし神父もいないので、おそらくは居館かな。この当時、城壁パーツは、ヨコ幅5ポッチのものが使われていました。
ヨコ幅5ポッチの城壁パーツだと、屋根の頂点と城壁の中心線が合わず、若干の違和感があります。王子様の城には、このようなわずかな違和感を感じる箇所が他にもあります。
例えば、門塔の正面にある小窓。一階と二階の窓のヨコ位置が、1ポッチずれています。
これは正面だけでなく側面も同様です。
小窓は一階・二階の正面・側面ともに内部構造に影響しない部分なので、ヨコ位置を揃えることは可能です。それをあえてずらしているあたりは、何かしら意図があるデザインであるはず。一階側面の窓(?)の部分もやけにタテ長で、違和感を感じました。
また、お城を開閉するヒンジの付近にも、わざわざ隙間が開けられています。
違和感は人の注意を引きますので、無意識に視線が向けられます。デザイン的に注目してほしい場所に若干の違和感を作ることで自然と視線が向けられるように仕掛けたのか、あるいは、全体のデザインを維持するため細かい部分でコストを下げようとしたのでしょうか。
下から見ると、コスト削減の努力を垣間見ることができます。
王子さまの城の2年前の1984年に発売された「とりで」と同様に、地面の部分に基礎版を使っていません。短辺1〜2ポッチ×長辺2〜16ポッチの緑色のプレートを繋ぎ合わせて地面を作ってます。
ギミックは、お城の展開と、跳ね橋の上げ下げのみ。お城シリーズ初期セットのため、とてもシンプルです。
跳ね橋の開閉はこんな感じです。
橋の上げ下げは、巻き上げ式ではなく、糸を直接引っ張る仕様になっています。
「とりで」の跳ね橋は巻き上げ式でした。これもコストを削減しようとしたのかな。
橋にかける糸はランプホルダーなどは通さず、プレートやブロックの接合部に直接挟み込む作りとなっています。
この糸を直接挟む組み立てですが、橋のプレートにちょうど良い長さでうまく咬ませるのが地味に難しいです。ランプホルダーを持っている人は、橋の裏に取り付けて、そこに糸を通す方がいいかもしれません。ちなみに、ランプホルダーはこのようなパーツです。
お城を全開にすると、こんな感じです。
城は閉じても全開でもかっこいいのですが、個人的には半開が好きです。半開だと、閉じた状態より広く、全開よりも建物に奥行きができるため、より立体的に見せられます。
日本での商品名は「王子さまの城」ですが、英語圏での商品名は「Black falcon′s fortress」です。直訳すると「ブラックファルコンの要塞」となります。そのため、そもそも王子はいないのかもしれません。
少なめの部品数で作られたお城ですが、とても美しいデザインです。象徴となる三角屋根と黄色い壁がとてもおしゃれ。初期のお城シリーズファンが惚れ込むだけのことはあります。
以上、“ 王子さまの城 レビュー ” でした。
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