LEGO 6081 ゆうれい城は、クルセイダー(ライオン騎士)が守る城です。1990年に発売されました。
ネーミングの通り、こちらのセットから、お城シリーズにゆうれいミニフィグが登場します。
ちなみに、日本での公式製品名は「ゆうれい城」ですが、英語圏では「King's Mountain Fortress」で、直訳すると「王様の山砦(さんさい)」となります。
子どもに対しては、「王様の山砦」よりは「ゆうれい城」の方がわかりやすくていいと思います。
それでは、全体を見ていきます。
大きな特徴としては、お城シリーズにおいて初めて立体基礎盤が使用されたことです。
立体基礎版の導入により、これまで左右対称のデザインが中心だった城モデルに、極端に左右非対称な城が加わりました。
さて、立体的な基礎盤の歴史は意外と古く、1978年発売の宇宙シリーズ「483 Alpha-1 Rocket Base」のセットで丘陵のような起伏のある基礎版が使われていました。
また、ゆうれい城が販売開始になる1年前の1989年、南海の勇者シリーズ「6276 サブレ砦」においても、ゆうれい城と色違いの立体基礎盤が使用されました。
そして、ゆうれい城で使用された立体基礎盤は、後に発売される「ブラックナイト城」にも引き継がれることになります。
さて、その立体基礎盤を活用した表現に、「ゆうれい城」のネーミングゆえにわかりにくい部分があります。
それが、下の部分です
こちらは、立体基礎版で底上げし、コスト削減をしているように思われがちな部位ではないでしょうか。
しかし、英語圏の製品名「王様の山砦」から読み解くと、これが土塁を表現しているとわかります。
山砦や山城は、山全体の地形を利用して砦や城を築きます。
山肌を削って堀を作り、その際に掘り出した土を盛り固め、防壁として土塁を築くのです。
そのため、レゴ社はあえて城壁パーツを使用しなかったと思われます。
このようなデザイン的アプローチが「ゆうれい城」のネーミングにより気付きにくくなっていることは少々残念に感じます。
塔の上には、かっこいい弩が二連装で設置されています。
また、カラスもいます。
1980年代の英語圏での製品において、ライオン騎士は「クルセイダー」と表現されていました。
クルセイダーは直訳すると「十字軍」です。
その他の検証(過去記事をご覧ください)からも、ライオン騎士のモデルは12世紀後半〜13世紀ローマ帝国にあると考えられます。
ローマ帝国において、カラスは軍神オーディンを表す鳥としていた地域があったようです。
コーナー部には、山城らしく木が生えています。
遊びやすさを考慮し、中庭にかからないように工夫されています。
次に、ギミックを見ていきます。
まずは、城門から。
城門には、お城ではお馴染みの跳ね橋が設置されています。
跳ね橋を上げるには、まず大きな門扉を閉じます。
それから、跳ね橋を上げます。
城門の横には、小窓が設けられています。
次に、中庭を見ていきます。
中庭には、地下室があります。
また、中庭に置かれた宝箱の中には、金貨に見立てた黄色の1×1ラウンドプレートが2枚と盃が1個、入っています。
お馴染みの牢屋も設置されています。
塔の部屋にも、ギミックがあります。
部屋の下にある棒を引き出すことで、床が落とし穴になるのです。
最後に、ミニフィグを見ていきます。
歩兵×2、弓兵×2、騎兵×2、お姫様×1、ゆうれい×1、合計8体です。
豪華な鞍の白馬に乗っている騎兵が城主と思われます。
ゆうれいにお姫様と、これまでの兵士だけのお城とは違った趣向になっています。
立体基礎盤の導入は、良し悪しあるかと思いますが、デザインの幅は広がったのではないでしょうか。
購入者側としてもパーツを無尽蔵に持っている訳ではありませんし、販売者側としても原価の制約などから平面の基礎盤では表現が難しいデザインもあったかと思います。
お城シリーズにおける新しい取り組みが垣間見られるセットだと思います。
以上、6081 ゆうれい城のレビューでした。