LEGO 6085 ブラックドラゴン城は、ブラックナイト軍が守る城です。
1988年に発売されました。
日本での公式製品名はブラックドラゴン城なのですが、英語圏では「 Black Monarch's Castle 」でした。直訳すると「黒い君主城」あるいは「黒い君主の城」となります。
「黒い君主城」より「ブラックドラゴン城」の方が子どもには刺さると思いますので、良い判断かと思います。
このブラックドラゴン城ですが、別で紹介している「6080 お城」を焼き直したような城です。
デザイン、ギミックだけでなく、英語圏では製品名の意味までよく似ています。
「6080 お城」の英語圏での製品名は「King's Castle」です。直訳すると「王様の城」あるいは「王城」となります。
王は、君主制国家における君主の一つです。ちなみに共和制国家では、国家元首(大統領など)がそれに相当することになります。
「君主の城」「王の城」ともに、その意味において似ているのです。
前置きが長くなりましたが、全体を見ていきます。
細かい違いはありますが、全体的な造形は「6080 お城」を踏襲していることがわかるかと思います。
お城の中を見ていきます。
広々とした中庭があります。大きなサイズならではです。
「6080 お城」には、中庭の奥に城壁へ上がる階段が設けられていました。
しかし、こちらの「6085 ブラックドラゴン城」では階段が省略されています。残念。
おなじみの牢屋もついています。
牢屋は「6080 お城」「6073 とりで」にもありました。こちらは、それらより広く作られており、使い勝手が格段に向上しています。
「6080 お城」「6073 とりで」は、ブロックで牢屋の壁面を作っていました。こちらは、ドアフレームを使用することで入口の厚さを薄くしています。
さらに開口部も6ポッチあり、フィグを出し入れしやすくなりました。
城内各所の柱には、武器が設置かれています。
そしてなぜか、城外のタルにも武器が。
剣を屋外に放置すると雨風でサビそう、盗まれそう、などの考えは野暮です。
なぜならば、これはとても効果的な演出小物なのですから。雰囲気、大事。
城の四隅は、コーナーパネルの城壁を使用しています。四隅を直角にすると、どうしてもカクカク感やペラペラ感が強調されますが、コーナーパネルはそれらを緩和してくれます。
一方で、気になる点もあります。正面左右のコーナーに不自然な隙間があるのです。
レゴ社ならパーツ構成を変更し、外観を損ねずに隙間なく作ることも出来たはず。
そうしなかったということは、原価など大人の事情があったのか、あるいは、あえて工夫や改良を楽しむ余地を残してくれたのか。
これも含めて、遊び心ということなのかもしれません。
次に、ギミックを見ていきます。
まずは、城の顔である城門から。お城シリーズではお馴染みの跳ね橋です。
橋はリールで上げ下げが可能です。
この跳ね橋の軸芯に使用しているパーツが、なんと馬上槍。馬上槍にランプホルダーを通して、軸芯としているのです。
これまでのお城シリーズの跳ね橋は、2×1のピンホールのブロックにペグを付けて可動していました。
過去作とは違った工夫を見せてくれます。
跳ね橋の上げ下げは、リールを使って行います。
こちらのリールですが、「6080 お城」とは異なり、一体型パーツではありません。
2×1のピンホールのブロックにペグとホイールを取り付けて、リールを作っています。
シンプルな構造ですが、一体型パーツがなくても、リールを作れることを教えてくれています。
城門には、落とし格子も付いています。
門塔の屋上には、落とし格子の上げ下げに使う糸を通す穴が開けられています。
ライトグレーのブロックに通されている糸が、落とし格子の糸です。
跳ね橋、落とし格子ともに、門塔の屋上が中継点になっています。
お城は、ヒンジにより展開することができます。
半開にすると、さらに大きくなります。
半開の状態を内側から見るとこのようになります。
全開にすると、こうなります。
全開の状態を内側から見ると、こうなります。
閉じた状態、半開、全開、それぞれで城の雰囲気が変わります。
最後に、ミニフィグを見ていきます。
ミニフィグは、騎兵×4、歩兵×4、弓兵×4の12体です。「6080 お城」と同じ編成です。
ちなみに「6085 ブラックドラゴン城」では、四騎の騎兵でマントを装着しているのは黒騎士だけです。
おそらく、この黒騎士が君主だと思われます。
「6080 お城」では、騎兵は四騎ともマントを装着しており、誰が王様かわかりませんでした。
そこで「6085 ブラックドラゴン城」では、誰が君主なのかわかりやすく表現したのでしょう。
とはいえ、マントなしの騎兵の背中が寂しいです。
過去の人気作をマイナーチェンジして新たに売り出す方法は、レゴに限らず様々な商品で見られます。
1984年、「6080 お城」は、お城シリーズの主役として登場したクルセイダー(ライオン騎士)の城でした。
この主役の城である「6080 お城」を模した「6085 ブラックドラゴン城」からは、お城シリーズの新たな主役を打ち出したいというレゴ社の意志も感じられます。
そしてこの後、お城シリーズの中心はクルセイダー(ライオン騎士)からブラックナイトに移っていくことになるのです。
以上、LEGO 6085 ブラックドラゴン城のレビューでした。
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